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令和6年冬のWEB投句

令和6年1月末日締めの秋の句の選です。

投句は13名、39句でした。

3名の選者が3句ずつ選びました。

入選句(敬称略)

堀江信彦選

<1席>

赤ワイン空けて姦し女正月 吉田紗湖

(選評)1月15日の小正月の頃を女正月(オンナショウガツ・メショウガツ)といいます。 年末年始多忙だった女性がこの日年賀に出向くことから言われて来ましたが、現在は如何でしょう。赤ワインを空けて當に赤い気焔が上っています。

 

<2席>

探幽の龍と目の合ひ冬ぬくし 吉田紗湖

(選評)季題は、冬暖(ふゆあたたか)の傍題・冬ぬくしですね。探幽の龍ですから、京都妙心寺の法堂の鏡天井に狩野探幽により描かれた「雲龍図」でしょうか。説明通り、どこから見ても八方睨みの龍の優しいと眼と出合いました。

 

<3席>

師の在さぬ虚しさなほも寒の雨 さくらさくら

(選評)寒の内に降る「寒の雨」は真にうら寂しい感じがします。美典師にもうお目にかかれないと思うと尚更に、冷たく空しく思う雨です。でももう顔を上げて、幸典新主宰の下、共に切磋琢磨の「河内野」俳句会を築いてまいりましょう。


小野義倫選

<1席>

辛気臭き事が神慮か粥占 明子

(選評)この句は神慮(神のみこころ)という言葉を使ったことにより、句が立ち上がった。

 

<2席>

探幽の龍と目が合ひ冬ぬくし 吉田紗湖

(選評)狩野探幽は江戸初期の画家で、幕府の御用絵師として、一門の繁栄を拓いた。その龍はどこから見ても人と目が合うように書かれているのだ。

 

<3席>

赤ワイン空けて姦し女正月 吉田紗湖

(選評)1月15日までは男正月で、その後が女正月。やっと男らの世話がすんで、女性だけの宴席が始まるという喜びにあふれている。


三谷啓子選

<1席>

岩を噛み神の凍滝細りたる 明子

(選評)細々と流れ落ちる姿のまま凍りついた神の滝。岩を噛む氷。森閑とした冬の山中の厳粛な空気が感じられる句。

 

<2席>

百里茫々大寒の大砂丘 さわ

(選評)茫々と広がる大砂丘。厳寒の大自然を前にした作者の感動が簡潔な措辞でそのまま表現されています。

 

<3席>

師の在さぬ虚しさなほも寒の雨 さくらさくら

(選評)師の在さぬ虚しさを寒の雨に託して一句にした。冬の雨にくらべ、寒さも冷たさもいっそう厳しいのが寒の雨である。なおも虚しさが募ります。


投句及び選句のご協力、ありがとうございました。

引き続き、「春の句」を募集中です。>>WEB投句箱