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令和6年春のWEB投句

令和6年4月末日締めの春の句の選です。

投句は15名、45句でした。

3名の選者が3句ずつ選びました。

入選句(敬称略)

小泉荒太選

<1席>

春月や女に強き糸切歯 内蔵助

糸切り歯は犬歯。女性の犬歯が強いのは歯で糸を切るからだけだろうか。長閑な春の月に作者は何でそんなことを思ったんだろう。想像が楽しい。

 

<2席>

気怠さといふ静けさに藤の雨 さわ

気怠さと静けさ。雨の藤を眺めている作者の心境がうまく表されている。

 

<3席>

藤房を分け藤の香にまみれゆく さわ

藤の花は長く身に触れんばかりに垂れている。分け、まみえるが作者に纏いつく藤の香をうまく表現した。


大慈弥爽子選

<1席>

宇宙へと夢はでっかく半仙戯 桃子

もっと高くもっと高くと漕ぐブランコ。空までも宇宙までもひろがる大きな夢が力強い。

 

<2席>

花冷えや石の匂ひのする都会 内蔵助

2句1章の句。独自の感覚と季題とのひびき合いがある。

 

<3席>

Tシャツに闘魂の文字夏近し 内蔵助

Tシャツの文字にまで、夏に向く若さ、力強さがある。


東構東子選

<1席>

木の芽吹く森へ再開発の波 さわ

木々が芽吹き瑞々しい森の息吹きに再開発という暗い影。また自然が壊されていくのか。

 

<2席>

気怠さといふ静けさに藤の雨 さわ

まさに藤の花の頃のなんとなくだるい気持、花の頃の心の昂ぶりからさめて季節のかわりゆく節目。句からそれが充分に感じられる。

 

<3席>

Tシャツに闘魂の文字夏近し 内蔵助

Tシャツに書かれている文字だけのことだが、それだけで少年のスポーツにかける思いが伝わってくる。季題がピッタリ!


投句及び選句のご協力、ありがとうございました。

引き続き、「夏の句」を募集中です。>>WEB投句箱