令和6年7月末日締めの夏の句の選です。
投句は39句でした。
3名の選者が3句ずつ選びました。
入選句(敬称略)
梶田高清選
<1席>
合歓の花瀬音にこぼす眠き色 花らっきょ
合歓は水を好むのか谷間に多い。そこを、瀬音にこぼすと表現された。又、合歓の花と葉の眠る時が違う。葉は夕方閉じるが、花は夕方満開となる。花の眠たい時だったのでしょう。
<2席>
土用芽の奔放といふ伸び盛り 桃子
春夏秋冬に土用があるが、俳句では夏の季題となっている。夏の土用の時期は草木の育ち盛りである。それを奔放と伸び盛りを表現されたところが良い。
<3席>
通らせてもらふ打水露地通り 蓑虫
自宅の通り道に、老舗の店があるのだろうか。打水をした気持ちの良い露地を通らせて頂き感謝の心です。
藤本公子選
<1席>
夜の庭ジャスミンという異邦人 ここ
闇に浸透するように香り立つ。それは本来の日本のものではないという、強い香りを異邦人と比喩して断定されたのです。
<2席>
蝉の羽化土の湿りを脱ぎ捨てて 桃子
うす緑色の羽が現れて、長い間の土の中の記憶を、ゆっくりと脱ぎ捨てていくように見える。「土の湿りを脱ぎ捨てて」という表現がよかったと思います。
<3席>
通らせてもらふ打水露地通り 蓑虫
打水のされた茶室の「露地」を通るよりも、打水をされた何げない「路地」を通らせてもらう方がいいかと。
通らせてもらふという表現がよかったと思います。
添削:打水の路地通らせてもらいけり
米澤悦子選
<1席>
蝉の羽化土の湿りを脱ぎ捨てて 桃子
長い間地中で生きていた蝉が、穴から出てきて羽化する瞬間を、土の湿りを脱ぎ捨てるという絶妙な表現がすばらしい。
<2席>
想い出の傷の数々登山靴 桃子
数々の山を征服されたのかも知れない。登山靴は命を預けた相棒とも言える。傷のひとつひとつが勲章なのだ。
<3席>
向日葵の花芯の迫り来る真昼 蓑虫
うつむきかげんに咲いている、背の高いひまわりの花を見上げると、焦げた色した花芯が迫ってくるようという。暑い真昼がよく出ている。
投句及び選句のご協力、ありがとうございました。
引き続き、「秋の句」を募集中です。>>WEB投句箱